12月号
11月21日〜23日まで銀座・博品館劇場にて上演された「うた会」。たくさんの皆様にお越しいただきまして、本当にありがとうございました。
「うた会」というものは、コンサートではなく、型にはまった芝居でもミュージカルでもありません。更に、ライブ感覚で、剣幸という女優の素の言葉も聞くこともできます。そんな、従来の舞台とは異なるつくりに、初めてご覧になったお客様は戸惑われたかもしれません。でも、かしこまって観に行く舞台だけでなく、こんなライトな舞台があってもいいのでは……そんな気持ちで、全員が取り組んでいます。
11月7日に稽古が始まり、その日、出演者、スタッフによる顔合わせが行われました。
演出家から、「本人たちの生の言葉を大切にするため、稽古の中で作ってゆく」というあいさつがあった通り、『うた会』では、稽古中のディスカッションに、多くの時間を費やします。今回は、稽古期間が約2週間と短かかったため、この期間内で作り上げなくては、という皆の緊張感と意気込みが、稽古初日から感じられました。
そんな中、音楽のアレンジが着々とあがり、オリジナル曲も何度も歌詞の見直しなどを繰り返しながら、ようやく完成。そのメロディに引きこまれるように、作品全体も皆の気持ちも、同じ方向に向かって進み始めました。人の心をこんなにも動かしてしまう音楽の力のすごさを、改めて感じました。
ここまでくると、後は勢いに乗るばかり。どんどんイメージの膨らんできた演出家や出演者、そして各プランナーから、矢継ぎ早にアイディアが溢れ、最後の1週間ほどで急ピッチでそれらがまとめられてゆきます。これぞ「うた会」のつくり方!
初日直前まで、産みの苦しみ丸々10ヶ月……と、本当にお産のようです。
ご覧になった皆様、今年の「うた会」、いかがでしたか? 観終わった後、帰り道に空を見上げ微笑みながら、なんとなく耳に残った歌を口ずさんでしまう――そんな作品になっていたら、それだけでうれしいのです。
最後に、2001年「うた会〜Try to Remember…おもいだしてごらん〜」の、剣幸からのメッセージをお聞き下さい。
――「言葉」というのは不思議なものです。ほんの小さな一言で、元気にも幸せにもなれるし、反対に人の心を深く傷つけてしまうこともある。けれども人は「言葉」を通じて、人に心を届けています。だからこそ、大切に「言葉」を選んでいきたい。――