1月に博品館で幕を開けた『うた会vol.5』も、3月末に全ツアーを終了しました。
当初、2月のクルージング、3月のサロンコンサートは、
劇場版をそのままコンサート形式としてアレンジしよう、という考えだったのですが…。
ところが、演出のY氏から
「クルージング、ホテル版と、全てをご覧になるお客様もいらっしゃるなら、
その場にあった内容に変更して、3度お楽しみいただけるようにしなくていいの?」との助言。
作品のできばえだけでなく、お客様の気持ちになって考え、それに応えようとするY氏。
それにひきかえ、博品館さえ終われば、あとは楽チン!などと考えていたアサハカな私たち……。
ほんの小さなことでも、ちょっと?と思い、気づくだけで、
新しい方向に大きく膨らませることができる――
今回、Y氏のもとで勉強させていただいたなかでも、
これが、一番大きなことだったと思います。
曲目としては、博品館からクルージングになった時点で3分の1、
そして、クルージングからホテル版になった時点で、さらに3分の1くらい変更がでました。
一番大変だったのは、音楽監督のT嬢だったことは、言うまでもありません。
頭の中ではきっと、(こんなはずじゃなかったのに……)と思いながらも、
ひたすら<ベスト>なものを追求しつづけてくださったT嬢に心から感謝します!
Y氏、T嬢をはじめ、心あたたかなスタッフ・キャストの皆さん、そして、お客様。
最後まで皆様に見守っていただきながら、今年の「うた会」は幕を降ろします。
反省することも多々ありましたが、
「うた会」の新たな可能性を見出せた喜びが、私たちにとっては財産となった、
第5回記念公演でした。
■『ミュージカル』2003年3月号<小藤田千栄子のミュージカルダイアリー>より転載
「――(略)舞台にはトリオのバンドがいて、歌のうまい3人が次々と歌いつぐ。いろいろなタイプの歌があったが、いまの時点で受けていたのは、やはり『マンマ・ミーア!』からの曲。3人で歌った「ダンシング・クイーン」は迫力ありましたよ。音楽監督・作曲・ピアノ演奏=玉井悦子で、この人に才能あり。
『うた会』の特徴は、朗読を挟むことで、今回は田辺聖子原作の『夢渦巻』を、3人で読み分けた。定年退職した男の話だが、なんだかしみじみと心に沁み、小説の中のセリフの言い方、地の文の表現方法に工夫をこらして、とても良い朗読劇となっていた。」